自動改札の秘密

自動改札のひみつ (交通ブックス)

自動改札のひみつ (交通ブックス)

自動改札というとごくありふれたものであるが、考えるとなかなか奥が深いものである。
例えば、自動改札が日本で始めて登場したのは1967年の阪急北千里駅であった。
東京圏の人口の多さに比べて大阪圏で初めて先進技術が取り入れられた理由もこれまた面白いものがある。
それは大阪の方が路線数が少なく、システムの統合が容易であったという事情による。
さて、この面白さはどこにあるか。
自動改札単体で見たときの工学的な知見も興味をそそるものではあるが、それよりも寧ろ社会システムの一部であるという影響が自動改札に極めて大きな影響を与えているのである。
そして更には、発券からを含めた料金収受システムであるという観点も持った上で分析する必要がある。
諸外国の自動改札は日本のものとは構造がことなっている。
例えば、改札の出口にあるドアは日本のものはソフトドアといって、閉鎖されても無理やりこじ開けて通ることが可能であるが、欧州ではハードドアという閉鎖されれば物理的に通過不可能である構造のものが殆どである。
これは国民性の違いを反映しているといえる。
更には、世界には磁気カードをスライドさせて読み取って自動改札を通過するというものもある。
この場合に日本の自動改札との違いを生み出しているのは、単位時間当たりに自動改札を通過する人数の違いである。
日本の場合は単位時間当たりの処理人数が極めて多く高速で読取ると同時に読取不良の発生率を極めて低く抑えることが要求されるため、カードをスライドさせるという方式では要求される速度と精度を満たすことが出来ないのである。
などといったことが社会的な差異によって自動改札の工学的な差異が生み出される例である。