国家情報戦略 (講談社+α新書)

国家情報戦略 (講談社+α新書)

国家情報戦略 (講談社+α新書)

外交官出身の佐藤優氏らしく、本書でも情報戦略の重要性を語っている。共著者が韓国人である高氏であることもあり、主には東アジア地域における情報戦略に関する記述が主体である。

中でも面白いのは、陸軍中野学校の思想は現在の北朝鮮における情報戦略の強さの原点となっているということである。またそれは韓国の情報戦略の原点でもあるとのこと。

中野学校では甲賀忍者の家元を講師に招いての授業もあったらしい。なんともユニークであるように思えるが、忍者とはスパイそのものであり様々な技能に長けているわけでありスパイ育成には持って来いの指導者といえるであろう。

しかし北朝鮮の工作期間と中野学校には大きな違いがあり、それは中野学校の「謀略は誠なり」の精神である。嘗ての日本は相手国の国民を拉致するような卑劣な工作をすることはなかった。あくまで相手国の国民の心を掴むために誠の精神を以て臨んだのである。