国防
先日は安全保障の素人がわが国の安全保障を担うことになったことは記憶に新しい。えーと、誰のことだったか。素人さんの名前をむやみに公にするものでもないので名前は伏せておく。
国防というタイトルで石破茂氏(えーと、素人さんじゃないので名前出しても良いよね)の本を見つけた。以下、書評。
- 作者: 石破茂
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/01/26
- メディア: 単行本
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例えば、本書では有事法制の重要性について書かれている。
有事法制が無い状態で日本が攻撃を受けたらどうなるか、本書の内容を引用する。「野戦病院?厚生労働大臣の許可が無ければ作れません。」「壊れた橋や道路を自衛隊が修理する?国土交通大臣の許可が無ければ駄目です。」
「そして例えばミサイルが飛んできたとしても、誰が避難警報を出し、誰が避難命令を出せるのか。そんなことすら決まっていません。」
「日本を侵略する者、攻撃する者の立場からすれば、『いざとなれば日本は、自衛隊は動けない、国民は右往左往だ』となります。」
という極めて危険な状況である。
勿論攻撃される確率は低いであろうが、万一攻撃を受ければ危機に陥ることは確実であり、対策を怠ることは国家的な危機であると言える。
政治家がポピュリズムに迎合していては危機管理など出来ない。
しかし、石破氏は危機を感じ取って法整備を進めた。
だから序段で「矜持が伝わってくる内容」と書いたわけである。
さて、日本は戦後今まで平和な時代が続いたわけであるが、平和が続くことが危機管理能力の低下をもたらす虞もある。
例えば、誰もが軍事に無知な内閣の在任中に戦争の危機が勃発したとき、自衛隊の行動について誰が正常な判断を下すのだろうか。
最も恐ろしいシナリオは、イケイケドンドンの世論が醸成されて際限無く武力行使に走ってしまうことである。
だが、軍事に詳しい人間が国家の中枢に居れば的確に戦力を分析した上で、抑止力を効かせる方法を思案して戦争回避行動が取れる公算が大きくなる。
平和国家を名乗るなら軍事的な知識を国民に叩き込んだ上で如何にして戦争を回避するかを国家的に議論すべきであるが、そうならないのが不思議でならぬ。
例えば、病気になって医者に行ったとして、その医者が医学の知識が全く無くただ単に念仏を唱えるだけだったらどう思うだろうか。
そんな医者には一銭も払わない。
それと同じことが国防に関して起きているのである。
などなど、本書の感想として書けることは幾らでもある。
とにかく、一読の価値はある内容である。