津波研究のT氏に会う

津波研究の起業家T氏に会った。やはり3.11以降は業界がよく「動いている」らしい。ニュースでもよく言われているが「地震学会は3.11に完敗」だとの話もあった。
2件の豆知識を入手。

その1. 津波の遡上高は実際の津波の深さとは異なる

遡上高さは最大到達点の海抜高度とのこと。ややこしいがそのまま。

その2. 3.11の津波のエネルギーは、200km x 500km x 10mの水塊を10m移動させるエネルギーに等しい

詳細は定かではないが、とりあえず200km x 500km x 10mの水が10m分の位置エネルギーを持ったと考えてみよう。
注:eは指数を表します。5e4は5かける10の4乗。3e8は3かける10の8乗

移動した海水の体積Vは
V = 500[km] x 200[km] x 10[m]
= 5e5[m] x 2e5[m] x 1e2[m]
= 10e12[m3] = 1e13[m3].


海水の密度をρ = 1000[kg/m3]=1e3[kg/m3]として移動した海水の質量Mは
M = ρV
= 1e13[m3] x 1e3 [kg/m3] = 1e16[kg].


重力加速度を g = 10[m/s2] として海水が鉛直上向きに h = 10[m] 移動した場合の重力ポテンシャルEは
E = Mgh = 1e16[kg] x 10[m/s2] x 10[m]
= 1e18[Nm] = 1e18[J].


因みにwikipediaの記事によると、東北の地震で開放されたエネルギーは M9 = 2e18[J]なので、概算でいえばその半分のエネルギーが海水の移動のエネルギーに変わったことになる*1

*1:厳密に言えば、海水に速度も与えているし密度も1000[kg/m3]ではないのだが、元々の仮定(500km x 200km x 10m)が概算なので厳密な計算は無意味ですね。